1st EP「2+2」Interview -前編-


昨年7月の正式始動以降、ヴィジュアル系シーンにおいて独自のスタンスを貫き、異彩を放つ3470.mon(さよならマンデー)。昨年デジタルリリースされた0th EP『VHS』はiTunes Storeデイリーロックランキングで1位を獲得するなど注目を集め、そのR&Bやソウルミュージックをベースにした音楽性はシーンでも類を見ない。そして、今回満を持してリリースされた1st EP『2+2』は待望のCDリリースであり、彼らの音楽の本質に触れることが出来る作品に仕上がっている。デジタルコンテンツが主流のこの時代において、あえてCDでリリースしたことの意味、さらには今作に詰め込まれた様々なギミックや仕掛けに関してもたっぷり語ってもらった。

前作より約一年ぶりのインタビューとなりますが、その後どのようにお過ごしでしたか?

平一洋(以下、平):僕たちはそれぞれ個人の活動もありつつでこのバンドをやっていて、僕自身も最近個人活動で色々なライヴに出演したりしてるんですけど、バンド外の活動をすることでメンバー同士で高め合えてるなと思いながら過ごしています。

RENA:俺もこの一年間で“音楽をする現場”がすごく増えて、色々なアーティストと触れ合うことで刺激にもなるし、吸収するものもすごく多くて、自分のバンドに帰ってきた時に何が残せるのかっていうことを改めて考えるようになりましたね。そういう意味では音楽自体がすごく楽しい循環をしているなと感じる一年でした。

今回リリースされる『2+2』は二作目でありながら1st EPという位置付けですが、前作は0th EP、今作を1st EPとした理由を教えて頂けますか?


SYUTO:前作に収録されている楽曲のほとんどは3470.monになる前に存在していた楽曲なんですよ。なので、僕の中では0よりも前というか、あの作品でようやくゼロになるという意味で0th EPで、音源タイトルも過去のものという意味で『VHS』とした背景があります。

RENA:俺もレコーディングに参加していない曲があるという点も大きいですね。

では、3470.monとしての1枚目として今作はどの様な意識で制作されたのでしょう?

SYUTO:とはいえ前作の『VHS』をリリースした時に、それまで僕たちの音楽を聴いてなかった人たちからの反響も感じたんですよね。3470.monというバンドを知ってもらうにはすごくよかったなと思っています。それに対して今作は、3470.monをより深く知ってもらえるようなものにしたいという思いで製作をしました。

前作ではR&Bを基盤にした楽曲が並んでいて、ある程度焦点を絞った作品であるのに対して、『2+2』はそのベースを残しつつ振り幅を大きく取った作品だなと感じました。前作では楽曲が出来た順番に音源に並んでると仰っていましたが、今作も同様ですか?

SYUTO:今作の並びは前作とは違って、ちょっとした仕掛けがあるんです。

仕掛けというと?

SYUTO:今作の構想として、一曲ごとに時代を遡るというか、音像が一曲ごとに古くなっていくように実は作ってあるんです。それが10年単位なんですけど、明確にこの曲はいつの時代の音像というのを決めて作り込んでいるので、先程言っていた振り幅が大きいというのもその通りで、それぞれが違う時代の違うバンドの曲に聴こえるように意図的にアレンジしました。

平:知らなかった(笑)

RENA:初めて聞いた(笑)

一同:(笑)

ではその興味深い楽曲についてお伺いします。「8G」はかなり初期からライブで披露されている楽曲ですよね。


平:この曲は唯一3470.monになる前からある曲で、時系列で言えば一番古くからある曲ですね。当時はまだメンバーも違って、ギターロックみたいな曲も多くあったんですけど、その中でこういう曲を変化球としてではなく普通にやるようなバンドになりたいと思っていて活動当初から演奏していたんです。

SYUTO:この曲のオケはHIP HOPのトラックメイクのような作り方で作りました。てんてんさんがこれまでやってきた音楽とは全く違うものですけど、こういったビートにてんてんさんの声が乗るのはなんとなく想像できていたので、それを初めて形にした楽曲ですね。

ある意味3470.monの原点というか起点になった楽曲かもしれないですね。時代を遡るというところでいうと、この曲はどの時代になるのでしょうか?

SYUTO:2000年代の後半から2010年代の前半くらいにあった日本におけるR&Bやヒップホップの流れの中で、こういうサウンドのものをバンドでやる流れがあるバンドを筆頭にあったと思うんですが、もしその時代に今の僕らがバンドとして存在していたらどういう曲をやっていたのかなと想像して作りました。

ベースは音色が特徴的ですよね。

RENA:そうですね。この曲は音が面白くて、シンセベースの音を出すエフェクターを使っています。デモの段階からシンセベースの音が入っていたので、当初は生のベースの音にシンセベースの音を同期で重ねたりもして、いろんな選択肢があったんですけど、いいエフェクターがあるという噂を聞いて試したらとても良かったので、レコーディングでもそのまま使って、ねっちりといいビート感を刻めたと思います。

この「8G」というタイトルはどういう意味なのでしょう?

平:当時ちょうど5Gが普及しだした頃で、5Gの電波のせいで鳩が爆発したみたいなフェイクニュースが世界中であって怖いなと思って。もしこの先6G、7G、8Gって文明が進化していったらもっと色んなことが出来るようになるんだろうなって思いながら、そんな未来を想像して書いた歌詞なんです。だいぶディストピア感あるんですけど。

歌詞にある“薄明光線”というワードはMy BACTERIA HEAT IsLAND(2014年から2015年まで平が在籍していたバンド)とも馴染みが深いワードですね。

平:このバンドが自分の中で集大成だと思っていて、前作の「純潔さん」にKuRt(2004年から2006年まで平が在籍していたバンド)にまつわるワードを組み込んだのもそうなんですけど、自分にとっての印象的な言葉を織り交ぜることで過去と現在を繋ぐ意味合いを持たせています。

続く「パンドラさん」は僕自身イメージするこれまでの3470.monの音楽性の傾向からは想像もしないテイストでびっくりしました。

RENA:俺もデモもらった時珍しいな!と思いました。明らかに異質だったし、面白い曲が来たなと思ったのを覚えています。

SYUTO:この曲は1990年代の後半から2000年代の前半におけるギターロック全盛期の時代のイメージなんですが、その音像をそのまま3470.monでやっても面白くないと思ったので、当時流行っていたイギリスのギターロックにエレクトロやサイケデリックロックのニュアンスを取り入れたものなどを参考にして、3470.monの音楽性に寄せて僕たちなりのギターロックにしたという感じですね。

ゆったりした楽曲が多い3470.monにおいてライヴ感があるパンチのある楽曲になりそうですよね。


SYUTO:この曲だけは唯一ライヴを意識して作りました。これまでこのバンドでライヴをしていく中で速くて盛り上がれる曲がないという悩みがあったんですけど、それを解消できるための曲をという観点から、ファンが動くってなんだろうなって考えて、この曲にはエアロビクスの要素を取り入れたりもしてるんです。

平:エアロビ!?

SYUTO:体を動かすことに特化したものということでテンポ感やビートはエアロビを参考に作りました。

この曲は元々「パンチドランカーさん」というタイトルだったかと思うのですが、どういった経緯でつけられたものなのでしょう?

SYUTO:ステージに立つアーティストと会場のお客さんの共通点て何なんだろうな?と考えたときに、お互い激しい曲のときに頭を振るので“脳震盪すること”だと思いました。そこから着想を得てイメージを膨らませていった感じですね。ただし3470.monはそういった曲があまりありませんが(笑)

平:思ってる以上に超考えてるやん…(笑)なんか今日のシュートマン教授みたいだね。

一同:(笑)

平:最初はマイクで歌ってたんですけど、最近は拡声器を使ったり、この曲を通してあれをやろうこれをやろうってアイディアがたくさん浮かんできて、結果ライヴで育った曲だと思いますね。

SYUTO:僕的にはもっとてんてんさんに狂いながら歌ってほしいんですけどね。

というと?

SYUTO:てんてんさんはたまにステージでまともになろうとする時があるんですけど、僕的にはナチュラルに狂っていて、なおかつそれがかっこいいところがてんてんさんの良さだと思っているので、この曲に関してはそのまま歌ってくれとリクエストしてます。

この曲はそうは聞こえないんですけど、よくよく聴いてみるとAメロとサビのみという変わった構成ですよね。

SYUTO:それもさっきの話に通じてくるんですけど、構成的にAメロ→Bメロ→サビのようなまとまりのあるものにはしたくなくて、終始ぐちゃぐちゃにしました。

続く「背景さん」も3470.monとしては珍しいストレートかつどこかレトロさも感じる楽曲という印象があります。

平:実はこの曲の原曲は僕なんです。

そうだったんですね。

RENA:一洋が疲れ果ててる中で曲を作るっていうんで、なんとか形にしようってギターとベースで適当に録って、当時は今の形ではないメロが乗っていたんですけど、それを共有するねってSYUTO君に投げたら3時間後くらいに「アレンジしました!」ってガラッと化けた状態で返ってきて“なんだコイツ!”ってなりました(笑)

平:あれはマジでびっくりした。あの時のシュートマンはバケモノかAIか何かかと思ったもん(笑)

この曲も当初は「照明さん」というタイトルでライヴで披露されてたものですよね。

平:そうですね。出来たばかりの頃はもっと下北沢系のロックバンドっぽい聴こえだったんですけど、そこからアレンジが加わって今回で第三形態くらいですね。

SYUTO:それこそ当初は2000年以降のバンドサウンドの感じだったんですけど、それでは『2+2』の年代を遡るというコンセプトにそぐわなかったので曲のエイジングみたいなものをしたんです。

曲のエイジングですか?

SYUTO:要は古いのものに聴こえるようなアレンジであったりミックスを施しました。具体的に言うと、パッと聴いて第二次バンドブームと呼ばれる80年代後半から90年代前半のサウンドに聴こえるようにしたかったんですよね。この時代のロックバンドの特徴として、8ビートに乗るギターやベースの音価が極端に短かったり、デジタルシンセとアナログシンセの融合があったように解釈してるので、そういった時代を象徴するものを取り入れました。

ということはライヴで先行して「照明さん」として披露していた状態からはかなりアレンジが変わっているんですね。

平:だいぶ変わってますね。

ベースの面でお話をすると1Aでは3470.monらしい休符を含んだ弾き方ですが、2Aではドライブ感のある弾き方にと変化が見られるのが面白いですよね。


RENA:そうですね。ざっくりで言うと1Aはシンセベースで、2Aは生のベースで弾いてるんですけど、シンセベースの部分がリアレンジされた部分、生の方が原曲のベースラインに近いアレンジになっていて、双方のアレンジがミックスされた仕上がりになってます。

「酸欠さん」はわりと3470.monの“らしさ”が出てる楽曲ですよね。

SYUTO:この曲は1970年代後半から1980年代前半のシティポップがブームだった時代に3470.monが存在していたらどんな曲を作っていたんだろうという想像で作った曲です。ですがそれだけではつまらないのでギターのフレーズはレゲエを参考にしていたり、歌のメロディはシティポップというよりはR&Bに近いものにしたりしたので、もしかするとそれが元々の3470.monのイメージに近いのかもしれません。

RENA:全曲において言えることでもあるんですけど、ベースって元々耳に入りづらい楽器だと思ってて、その中でもしっかりビート感ってこうやって支えられてるんだというのがちゃんとわかる感じに仕上がってるんじゃないかと思います。音価の取り方で楽曲のグルーヴ感が変わっちゃうんだなというのもレコーディングで感じたし、改めてベースを弾いてて楽しいなと思える楽曲で、本当の意味でのベースの楽しさを楽曲から与えてもらったなと思う瞬間が多くて、中でもそれを一番に感じるのが「酸欠さん」ですね。

どの楽曲も独特のセンスでタイトルを付けられていますが、その中でも「酸欠さん」が一際目を引くタイトルだと感じます。このタイトルにはどんな意味が込められているのでしょう?

平:今の世の中ではまだマスクをしていないといけなし、ライヴでも当たり前にマスクをして声も出せないじゃないですか。ライヴで100%楽しもうとしてもマスクがあるとどこかブレーキをかけてしまったりすることもあると思うし、そういう歯痒い現状でもお客さんが酸欠になって倒れるくらいのライヴをしたいという想いが込められています。

SYUTO:この曲の歌詞はてんてんさんと僕が半々で書いてるんですけど、僕は今の世の中の閉塞感を鳥籠という言葉で表してるんですが、実はこの表現はマスクをしている人が鳥に見えるからだったり、そういった現代のコロナ禍からも着想を得ているんですよね。

個人的に「酸欠さん」の歌詞が一番てんてんさんらしいなと思います。

SYUTO:“あの子が死ぬ映画を見る度心が落ち着くの”とかはパンチラインですよね。

RENA:あそこは聴いててドキッとするね。

平:そこの歌詞ははじめシュートマンが書いた同じようなニュアンスの別の歌詞があったんですけど、それをもっと酷く表現するためにより重たくしました。

SYUTO:あの歌詞は元々、“映画(フィクション)”と”ドキュメンタリー(ノンフィクション)”の対比があって、要するに「作り物じゃないはずのドキュメンタリーが嘘のようで、作り物の映画が本当のように感じる」というニュアンスだったんですけど、てんてんさんが書き直した歌詞によって、その対比がより色濃く出るようになった気がしました。

平:そこまで人を恨むことってそうないですけど、誰しもが一度くらいは映画の残酷なシーンにその人を投影してニヤッとすることがあると思うし、それを僕が歌うことで“その気持ちって普通だよ”って肯定してあげることができると思うんです。

(取材・文 オザキケイト)

-後編-
https://3470mon.jp/itv_1017/

3470.mon Event「FLY ME TO THE MOON」& ONE-MAN


・2022.11/14(Mon) 新宿WildSideTokyo
2-MAN EVENT「FLY ME TO THE MOON」
出演:3470.mon / umbrella
OPEN:17:30 / START:18:00
前売:5,000円 / 当日:5,500円
TICKET:LivePocket (10/15 21:00~)
https://t.livepocket.jp/e/ev1114

・2022.11/21(Mon) 青山月見ル君想フ
3-MAN EVENT「FLY ME TO THE MOON」
出演:3470.mon / のろゐみこ / マツタケワークス
OPEN:17:30 / START:18:00
前売:5,000円 / 当日:5,500円
TICKET:LivePocket (10/22 21:00~)
https://t.livepocket.jp/e/ev1121

・2022.11/28(Mon) 新宿WildSideTokyo
3-MAN EVENT「FLY ME TO THE MOON」
出演:3470.mon / sugar in the closet / nurié
OPEN:17:30 / START:18:00
前売:5,000円 / 当日:5,500円
TICKET:LivePocket (10/29 21:00~)
https://t.livepocket.jp/e/ev1128


・2022.12/12(Mon) 青山月見ル君想フ
ONE-MAN
※詳細随時発表

・2022.12/26(Mon) 新宿WildSideTokyo
ONE-MAN
※詳細随時発表

1st EP「2+2」音楽ダウンロード&サブスク配信中


2022年9月19日より
3470.mon 1st EP「2+2」
音楽ダウンロード&サブスク配信中!


1.8G
2.パンドラさん
3.背景さん
4.酸欠さん

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